私たちテクノポリマーグループが存在しているということは、『環境』『社会』『経済』に必ず何かしらの影響を与えているということになります。
その影響には、ポジティブ(良い)なこともネガティブ(悪い)なこともあります。良い影響は伸ばし増やして、悪い影響は最小限に減らしていく。そのためにまず、弊社の何が良い影響で、何が悪い影響なのかを分析して数値化して目標を決めます。
その目標に向かって進むには、お金が掛かることも多々発生します。そのために企業と銀行が手を取り合って、共に良い影響を増やしていく作戦が【ポジティブ・インパクト・ファイナンス】です。
ポジティブ・インパクトとは、持続可能な開発の3つの側面(経済、社会、環境)において、マイナスの影響を特定・緩和し、プラスの貢献をもたらすことを意味します。
また、企業活動が環境や社会、経済に与える影響を分析・評価し、ポジティブな影響の拡大やネガティブな影響の緩和を支援するファイナンス手法をポジティブ・インパクト・ファイナンスといいます。
ポジティブ・インパクト・ファイナンスでは、企業の活動や製品、サービスがSDGs達成にどの程度貢献しているかを評価指標として活用し、開示情報に基づいてモニタリングを行います。
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの目的は、資金調達者のポジティブな影響の増大とネガティブな影響の低減を支援することです。
2024年8月30日に、常陽銀行はポジティブ・インパクト・ファイナンスとして、テクノポリマー株式会社が発行したJ-クレジット購入選択権付私募債を受託・引受しました。
その際、常陽銀行のグループ会社である常陽産業研究所が、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)の提唱するポジティブ・インパクト金融原則に基づき、テクノポリマーのSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みや本業との関連性を分析・評価しました。
また、ポジティブ・インパクト金融原則への適合性についての透明性を確保するため、外部評価期間である日本格付研究所(JCR)から第三者意見を取得しました。
テクノポリマー株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行について
J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
本制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が発展的に統合した制度で、国により運営されています。本制度により創出されたクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、様々な用途に活用できます。
プラスチック製品製造業界は社会的な要請として、製品の各製造工程および運搬時に排出されるCO₂による地球温暖化問題、プラスチック原料消費による原油資源枯渇問題、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題等への対策が求められています。
当業界の事業者には、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」や、同目標14「海の豊かさを守ろう」等が関係し、個社別での取組みが求められています。近年世界中で「脱プラスチック」の潮流が表れており、国内でも2018年より大手外食チェーンを中心としたプラスチック製ストロー廃止の拡大や法改正によるプラスチック製品の消費抑制効果等が契機となり、今後ますます脱プラスチックの加速が見込まれます。
グローバル化の進展により、製品輸出や海外生産も増加していることから、化学物質管理等に関するEU(欧州連合)の規制であるRoHS指令とREACH規則に則った適切な対応も不可欠です。RoHS指令は、電気・電子機器のリサイクルを容易にし、最終的に埋立てや焼却処分される際に、人や環境に影響を与えないように、EUで販売する電気・電子機器の有害物質を非含有とすることを目的とするもので、電気・電子機器において10の特定有害物質の使用を制限しています。
テクノポリマーでは、環境対応型製品である生分解性プラスチック製品を2007年頃より取扱っています。
生分解性プラスチックとは、微生物の働きによって水とCO₂に分解され、自然へ還る性質を有する合成樹脂のことであり、近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題等の環境問題に対して、効果を発揮するものとして注目されています。
受注先の完成品メーカーから成形材料の指定が無い場合や、成形材料が指定された場合においても同等の品質を担保できる場合には、生分解性プラスチックの使用を検討しており、これまでにコップやサンダル、鉢等の生分解性プラスチック製品を販売しています。
また、仕入先である成形メーカー、販売先である完成品メーカー等サプライチェーンの関係企業とのコミュニケーションを密にとり、国際情勢の変化、規制の改正等にも迅速かつ適切に対応しています。
RoHS指令やREACH規則の対象とならない製品についても、価格面に配慮しつつ、極力規制対象の有害物質を含まない成形材料の使用を完成品メーカーに提案する等、サプライチェーンをリードした、環境問題への取り組みを進めています。